漢方的むくみの原因と治療法
漢方(中医学)において、むくみは水分代謝の異常によって生じると考えています。その水分代謝と深く関わるのが、肺と脾と腎であると考えられています。そのため、むくみはこの肺と脾と腎、いづれかに問題が生じても生じると考えられるのです。治療法はこれらの3つの臓腑が正常になるようにするということになります。
肺に問題があってむくみが生じる場合(肺気不宣)
一般的生理学で考えられている肺の機能と漢方で考えられている肺の機能は異なっています。一般的には肺は呼吸を行う臓器ということになりますが、漢方で言う肺の機能は一般的なものを含み、さらに皮膚の機能(汗腺)及び、水分を下に流す働き、尿の排泄量の調節等を担っていると考えられています。そのため、肺の機能が低下すると、水分調節に異常をきたし、むくみを生じると考えられているのです。
肺の治療原則(宣肺利水)
肺の機能を回復させ水分を全身に行き渡らせる働きを回復させます。
肺の機能回復のための代表処方
越婢加朮湯・・・肺熱を冷まし、尿の出を良くする。主に初期のむくみ、急性腎炎などによるむくみなどに用いられる。
苓甘姜味辛夏仁湯・・・肺を温め、冷えによって生じたむくみを改善する。顏のむくみなどにも有効
脾(胃腸)に問題があってむくみが生じる場合(水湿困脾)
漢方で言う脾はおおよそ胃腸に相当します。この胃腸の働きが冷えによって低下したために、水分の吸収及びその分配機能に異常をきたし、それによってむくみが生じると考えられています。
脾の治療原則(健脾利水)
胃腸を元気にさせて、その結果として水分代謝を高め、むくみを取る方法です。
脾の機能回復のための代表処方
五苓散・・・胃腸を整えて、身体を温めて、尿の出を良くする処方です。
啓脾湯・・・胃腸を元気にし、その結果として身体を元気にし、その結果としてむくみの改善も起こるという考えの処方です。
腎に問題があってむくみが生じる場合(腎陽不足)
慢性的な胃腸機能の低下や、その他の慢性疾患に伴う体力消耗、老化などによって腎臓の機能が低下し、むくみが生じると考えられています。
腎の治療原則(温腎利水)
腎を温めて本来の機能を回復させ、利尿効果を高め、むくみを取る方法です。
腎の機能回復のための代表処方
真武湯・・・腎を温めながら、利尿効果のある生薬を用いてむくみを取り除きます
牛車腎気丸・・・老化を予防し、腎を温め、利尿効果のある生薬を用いてむくみを取り除きます